私は「師匠」。わけあってそう呼ばれている。
弟子など取った覚えはないし、
自分はただのダイコンにすぎぬのだが。
この青年が私の弟子に当たる人物。
名前を「ジャック(仮)」という。
本当の「名前」は別にあるそうだが、それにしたって冗談のような名前だ。
冗談のような名前に 冗談のような風貌。
彼の強い要望もあって、私は行く先々にお目付け役として同行している。
敵に囲まれたときにちょっと加勢してやる事と、
たまにヒールをかけてやることしか出来ないが、それでもいいと彼は言う。
普段の軽妙な語り口が嘘のように、
仕事をしている時はきわめて寡黙な男である。
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