師 曰く

私は「師匠」。わけあってそう呼ばれている。

弟子など取った覚えはないし、
自分はただのダイコンにすぎぬのだが。

この青年が私の弟子に当たる人物。
名前を「ジャック（仮）」という。
本当の「名前」は別にあるそうだが、それにしたって冗談のような名前だ。

冗談のような名前に　冗談のような風貌。

彼の強い要望もあって、私は行く先々にお目付け役として同行している。
敵に囲まれたときにちょっと加勢してやる事と、
たまにヒールをかけてやることしか出来ないが、それでもいいと彼は言う。

普段の軽妙な語り口が嘘のように、
仕事をしている時はきわめて寡黙な男である。

 

先日、新しい斧が装備できるようになった。
以前は棒に鉄製の刃を噛ませただけの簡素な斧だったが、
今度はだいぶ見栄えのする美しい斧である。

 

気に入ったのか、何度も切れ味を試していた。
中古品であったものの、刃の状態はいいようである。
さらに斧自体に命中率が上がるという追加効果があるらしい。

次々にクリティカルをたたき出しながら

「草刈に使うにはもったいないぐらいですね」と笑った。

 

そのあとは武具の融合に向かった。
彼はほとんどこの「武具の融合」をやったことがなかったが、
この先、危険なところに採取に行く機会も多くなるだろうと思ってのことだった。

無事に融合を済ませた後、
私はせっかくきたのだから力試しをしてはどうかと提案した。

 

 

意外にあっさり倒せてしまったので本人も拍子抜けしたらしい。
考えてみたら腕っ節と体力だけで言ったら一家で一番だ。

日々一緒にいると気づかないものだ。
頼りなかった少年はいつのまにか立派に成長していた。
誇らしく思う傍ら

もう師匠としての勤めは終わりなのかもしれない。

 

ふと　そんな寂しさがよぎった

 

 

種を集め、街道で植える

彼の趣味のひとつだ。

 

 

私も大概この「趣味」に付き合わされる。
 
ものすごい勢いで「キノコ」やら「花」を植えた後、
ぼんやりと　しかしどこか満足そうにそれらを眺める。

 

花のあるところに人は集まる

「こういうのもなんかいいよな」って思ってたら嬉しい　と彼は言う。

 

 

単純な力の強さに興味は無い
ただ人の幸せを願い　そのために手を尽くす

それもひとつの　この世界での生き方

ならば進む道を間違えぬよう　私はここで見守ろう

コメント 3

師匠視点ですか。以前のもっふりさんもよかったけどこれもいいですね。もっふりさんと師匠ときたら次はとろろですかね？
しかし凄い量の植物ですね。もしみちばたにこんなのがあったら驚きますよね。
by スヴァ (2007-11-12 07:41) 

すいません。師匠に惚れましたｗ
師匠格好良過ぎ！！ウチの農家も鍛えて欲しい＾＾
by 涼音 (2007-11-12 08:03) 

＞＞11/12のコメントにレス

＞スヴァさん
なかなか書くのには苦戦するのですが
いつもと違った見え方をするのでおもしろいですね。
とろろは確か一回やったような気がしますなぁ～。
きのこは街道に一回植えただけで、種がなくなってしまいました。
次はもっと沢山持ってこないとなぁ。

＞涼音さん
そろそろプロフィール欄に師匠の項目も足してやるべきですかねぇ。
サイドバー動物だらけになっちゃう！
基本師匠は見てるだけですが、
だれてくるとヒールで応援してくれますｗ
よいダイコンです。
by ヘルベチカ (2007-11-13 02:06)